■『医学の進歩が国家を滅ぼす』里見清一 (新潮新書)

夢の新薬「オプジーボ」は年間3500万円ほどの経費が掛かるという。
幸か不幸か,日本では一定の限度を超えた高額医療費はすべて健康保険または国民健康保険で支払われる。
しかし・・・そのおかげで仮に一人の病人の寿命が3年延びれば1億円の財政負担になる。
まさしく国家を滅ぼすことにつながる?

本書では,さまざまな例が紹介される。
健診で見つかって治療される乳癌の相当部分は,治療せずに放置しておいても命に別状がないものだそうだ。
過診断によるコストはアメリカでは年間40億ドルに及ぶとの記述もある。
「75歳以上の人には延命医療を許可しない」という提案も考慮に値する。

感じたこと。
毎年受けてきた健康診断。いつまで受けるか考えておく必要があるだろう。
そういえば,65歳を過ぎたとき「一生で一度の肺炎予防ワクチンを受ける機会」だとのメッセージが届いた。
どんな効果があるのかわからない。たぶん厚労省の役人が予算取りに成功したということだけは間違いないだろう。

  • 出版社: 新潮社
  • 著者:里見清一
  • 価格: 760円+税
  • ISBN-13: 978-4106106941
  • 発売日: 2016/11/16
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