■『アクティブラーニング 学校教育の理想と現実』小針誠著(講談社現代新書)

第一章 アクティブラーニング/主体的・対話的で深い学びとは何か
第二章 近代教育史の<アクティブラーニング> 大正新教育・戦時下新教育
第三章 戦後教育史の<アクティブラーニング> 戦後新教育・民間教育研究運動
第四章 平成教育史の<アクティブラーニング> 新しい学力観・総合的な学習の時間
第五章 未来のアクティブラーニングに向けて

2020年教育改革の先はバラ色の未来なのか?
学力は向上するのか? 学力格差はどうなるのか? 学校や教師の負担は? 新しい大学入試は?……

2020年教育改革の目玉であるアクティブラーニング=主体的・対話的で深い学び。
学校教育が変わる、子どもたちの学びが変わると期待や希望ばかりが語られるが、問題はないのか。
教師が知識を一方的に教える教育から、子どもたちが進んで学ぶ教育へ――。
明治以来の教育関係者の悲願は、大正時代の新教育、近年のゆとり教育をはじめ、どのように取り組まれ、どのように挫折してきたのか。
教室でほんとうにアクティブラーニングを実践できるのか。大学入試は適切に運用されるのか。そもそもよいことなのか。〈学び〉の近現代史を辿りながら、現在の教育改革の問題に迫る。
明治半ばに学制が定められて,大正期には東京世田谷,奈良などで新教育の試みが行われた。
その理想と現実に揺れる姿を,歴史をさかのぼって学びたい。

アクティブラーニングをめぐる五つの幻想
第一の「幻想」は、先行き不透明な未来社会を生きる子どもには、アクティブラーニングが必要で、これまでの教育では目標を達成できないだろうという前提です。
第二の「幻想」は、活動的な学び(アクティブラーニング)をおこなえば、子どもたちは主体的・能動的に学ぶ(アクティブラーニング)ことができるだろうという前提です。
第三の「幻想」は、学校でアクティブラーニングを経験すれば、知識や技能を活用できる新しい学力(思考力・判断力・表現力)、学ぶ意欲や「生きる力」が高まるだろうという前提です。
第四の「幻想」は、研修や指導を通じて教師自らが主体的に学ぶ機会を提供すれば、どの学校や学級でもアクティブラーニングが達成可能になるだろうという前提です。
第五の「幻想」は、以上の四点より、アクティブラーニングは好ましく、国の教育政策として導入されるべきだという前提です。

  • 新書: 268ページ
  • 出版社: 講談社
  • 価格:880円+税
  • ISBN-13: 978-4062884716
  • 発売日: 2018/3/15
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