■『外国人労働者受け入れと日本語教育』田尻英三編

日本社会は、いままで「見ない振り」をしてきた外国人労働者を受け入れることができるのか。
日本語教育の視点から、外国人労働者と日本社会、日本語社会のあり方を考える。

この数年,少子高齢化が進んで外国人労働者の受け入れが議論されている。
実は今から30年ほど前,昭和末期から平成初期にかけて(バブル経済と言われた時代),今と同じように人出不足倒産激増と言われた。
当時の政権が,南米日系人の受け入れを策した。
日系3世に,定住者という在留資格を付与していかなる就労も自由で家族滞在も認めるという措置をとった。
その結果,群馬県などにポルトガル語で生活できる地域がうまれた。
しかし,ピーク時に30万人を超えた定住者は,今から10年前のリーマンショックによる不況で激減し,現在は20万人を割っている。

一方で,すでに日本国は移民を受け入れていると指摘する人もいる。
在日外国人の中で,平成30年6月現在最も多いのは永住者で,76万人弱だからである。
素行が善良で,おおむね10年以上滞在している人々である。
そのなかで最も多いのは元中国人留学生だろうか。
この人々の大半は,日本語を使って日本で平穏に生活している。

 

  • 出版社: ひつじ書房
  • 価格: 1700円+税
  • ISBN-13: 978-4894768871
  • 発売日: 2017/8/4